Haruka Furusaka | ふるさかはるか

個展「積層の器 ことづての声」

  • 11.14.2022

個展「積層の器 ことづての声」を開催します。ギャラリーパルク(京都)での展覧会は8年ぶりで、関西でのまとまった展覧会も久しぶりです。

2017年から津軽・南部地方で山の手仕事の取材を続け、山や木と向き合う手仕事の人びとの言葉を題材にして作品制作に取り組んでいます。この展覧会ではその取材をもとにした木版画、ドローイング、ピンホール写真とその制作途上にある素材やインタビューを展示します。

この展覧会を踏まえて、来年には取材と作品をまとめた本の出版と木版画展を計画しています。今では知る機会の少なくなったソマ(木こり)や漆掻き(漆の樹液を採集する人)の山の手仕事と私の手仕事を交差させ、自然と共に「作ること」を考える場作りができればと思います。その伏線となる今回の展覧会をご覧いただき、今後の展開にもぜひご関心をお寄せいただけましたら幸いです。

展覧会に寄せて、人類学研究者の登久希子さんに文章を寄稿していただきました。登さんは私の取り組みのわかりづらい部分を解きほぐすように、研究者の観察力で端的に書いてくださいました。それをフライヤーにして会場でお配りしますので、ぜひお手に取ってみてください。

また、編集者の丹治史彦さんには、取材したインタビュー原稿にコメントを書き込んでいただきました。取材した何気ない言葉が、人の手に渡り、少しずつ「ことづて」に変化していく様を、原稿を通してご覧いただけたらと思います。会期中にコメントへの返答を私が書き込んでいきますので、その変化もご覧いただけると思います。

そして、取材させていただいたマタギ・木地師の山中泰彦さん、漆掻き・塗師の鈴木健司さん、鍛冶屋の中畑文利さんには多大なご協力をいただきました。山や木の命と向き合う皆さんの、驚きと優しさに満ちた言葉に勇気づけられて取材を続けることができました。心からお礼申し上げます。

山の手仕事の皆さんと本の制作に関わる私たちの手振りを、この展覧会で繋ぎ合わすことができたら幸いです。

 

個展「積層の器 ことづての声」
2022年11月26日(土) ~ 12月18日(日) ※12月10日(土)は18:30まで
水・木休廊/入場無料
会場:ギャラリーパルク
京都府京都市上京区皀莢町287 堀川新文化ビルヂング 2階

助成:公益財団法人小笠原敏晶記念財団
協力:有限会社修美社

【ギャラリートーク】
11月27日(日) 14:00〜
参加無料・予約不要

【公開制作】
12月4日(日)・18日(日) 13:00 ─ 16:00
2023年に出版を予定している「本」づくりに向けた実験作業の一環として、藍と漆を使った木版刷りの試作の様子をご覧いただけます。
※会場で漆を使用する可能性があるため、漆被れに敏感な方はご考慮ください。

【アーティストトーク】
12月10日(土) 19:00 ─ 20:00
入場料:1000円 定員20名(予約優先)>ご予約はこちら(ギャラリーパルク)
津軽・南部地方での取材の様子をスライドを交えながらお話します。

展覧会のチラシはこちら


《Tapping Lacquer Tree》325x320mm 木版, 藍 土 紙, 2022


《Flute》183x234mm, 木版, 藍 土 紙, 2021


《積層の器》(部分)1120x870mm, ドローイング, 藍 土 紙, 2020

取材中に撮影したピンホール写真
上から 山中泰彦さん(マタギ・木地師)の工房 
中畑文利さん(鍛冶屋)の工房
雨の漆林に佇む鈴木健司さん(漆掻き・塗師)