Haruka Furusaka | ふるさかはるか

空中山荘24節気_大寒

  • 01.20.2022

 

【大寒】ソマの舟vol.2の次作に取りかかり始めるのと同時に、彫刻刀の研ぎ道具を見直しているこの頃。「砥石は真っ平らでないといけない。」その平らな面が砥ぐ刃を平らにし、その刃の彫り跡を形作り、作品に現れる。それに刃が平らでないと、例えば猫背のように丸まっていると、思う方向へ刃が彫り進まない。ねじれた刃では彫り跡もねじれてしまう。そう彫りたければそうすればいいのだけれど、そういうねじれにはどこか捏造感があって、結局すっきりとしたいい作品にはならないだろう。

砥石が平らでなければならないことを比喩にすれば、物事のことわりを言い表すことができるように思う。いつからか、まっ平であるべきところを歪んだ砥石にすり替えたような、猫背の刃を素直に見直さないようなニュースや会話を聞くと、そっと心の中に真っ平らな砥石を置くようになった。

写真は天然砥石を仕立てているところ。20年ほど前、京都の東寺の市で訳もわからず買った天然砥石が、案外使えるとわかった。砥石の側面と台木に漆を塗って養生する。2枚目は、丸刀の裏刃(U字の内側)を研ぐ天然砥石。彫刻刀ごとの形に合わせて1本ずつ砥石を削る。この道具の仕立てをしながら次作への助走をしているのだろう。

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